第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
再び歩き始める。人気の無い廊下には俺達の足音だけが虚しく響く。重い沈黙が漂っていると、日向が不意に言葉を挟んでくる。
「お前の気持ち、凄い分かるけどな」
「え?」
「瀬戸が音駒の主将と知り合いって分かってたけど、なんかおれもモヤモヤしてる。上手く言えないケド」
「……ああ」
日向の瞳がゆらりと炎の様に揺らめいた。俺も日向の様な感情が沸き起こっている。
音駒の主将と瀬戸が話している光景を目にした瞬間も───ただひたすらに胸の奥から熱く醜い何かが煮えくり返っていた。
「でも瀬戸怖がらせんのは絶対ダメだかんな!」
再び日向は振り返ってビシッと俺に指を突き付けてくる。俺はその指を緩く払って言い返す。
「わーってるっての!ちゃんと、気を付ける」
「おう!」
日向と二人、並んで体育館へと歩いて行く。もう一度瀬戸と話そう。そしてさっきのこと、ちゃんと謝ろう。