第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
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「こんのばかげ山!!!」
「なっ!?ばかげ山って何だコラ!」
先を歩く日向が突然くるりとこちらに振り返り、大口を開けて罵倒を浴びせてきた。日向は非難するかのように眉をひどく釣り上げていた。
「ばかげ山だろーが!!お前、瀬戸怖がってんの気付いてたろ?!」
「え、怖がって……?」
「はあっ!?気付いてなかったのかよ!?」
日向に伝えられた事実に驚きを隠せず、言葉に困窮する。日向は俺の反応に怒りが萎えたのか、呆れた様に溜息を吐く。
「……お前どんだけキレてたんだよ。いつもだったらすぐ気付いてただろうに」
「……悪い…」
「謝るんだったら瀬戸にだ!瀬戸は少しずつだけど心を開いてくれてる。なのに怖がらせてまた最初に逆戻りになったらどーすんだよ!ただでさえお前顔怖いんだから気を付けろよ!!」
「ヴッ……!わ、悪い」
こればっかりは日向に言い返す事など出来なかった。自分の感情に流されて、瀬戸が怯えている事に全く気が付いていなかったのだ。酷い罪悪感と後悔が襲ってくる。顔を上げられないでいると、気を遣ってか日向が静かに呟く。
「ほら、行こうぜ。遅れる」
「ああ……」