第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
「うそだろおい…」
「伊鶴ちゃん?急にどうしたのっ?」
「おい日向に瀬戸ー。どうしたんだ急に」
心配そうに声を掛けてくれた潔子先輩と鳥養コーチに、私は反応することが出来なかった。
バッと日向が、左斜め後ろの方に立つ私の方へ顔を向けた。その表情は驚愕に満ちていた。その口はパクパクと何か言葉を示している。遠方の為よく見えないが、何故か不思議と理解出来る。
(こ、この人とあの人っ!あの時の人達だよな!?)
『この人とあの人』の部分では、日向は金髪の人と鶏冠の人を思い切り指差していた。大胆過ぎな日向さん。
しかし私も割りと混乱フィーバーな為に私も思い切り口パクパクしてシュビシュバと二人とも謎な手の動きで対話をする。
私(何ということでしょう。神の粋な心遣いにより衝撃的な出会いを果たしてしまいました)
訳:とてもヤバい
日向(晴れての練習試合に素敵なサプライズを1品)
訳:何か凄いヤバい
何がヤバイのか私と日向もよく分かってないがとりあえずヤバイ事なのは確かだ。何がヤバイのか全く分からないが。
と、不意に鶏冠頭の人の瞳がこちらに向いているのに気付いた。だが鶏冠頭の人は口元を抑えていて、肩が痙攣しているかのように震えている。
え、もしかしなくても笑っとるぞあの人。いや確かに私の行動確実に変人ですけどね。