第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
「羨ましい??」
確かに日向は子供の様な所は多くあるが、裏を返せば、それは全て彼の強みである。
「日向は、果てしなく純粋で、手にしたい物の為にどこまでも貪欲。その純粋で貪欲な部分は、彼をこれからより一層強くしていくと思います。
そして日向には一本の揺るがない芯が通っている。その芯があるからこそ、彼はどんな事にも負けずにいられるんだろうと思います。実質、日向は中学の時も、たった一人で懸命に努力してきました。あの時諦めていなかったからこそ───影山さんとコートの上で初めて出会うことが出来た」
あの日、あの時。あの試合、私も見ていた。強い相手に打ちのめされながら、それでも直向きに立ち続ける日向を。そして、今なら鮮明に思い出せる。相手コートに立っていた彼を。
────影山さんを。
「あの時二人が出会っていなかったら、今の二人のような関係は無かったんじゃないかと思うんです。あの時日向が影山さんに悔しい思いをしていなかったら、きっと日向は、影山さんというライバルであり、相棒という存在は無かったんじゃないかと思います」
「……」
「あっ、ああいえ、あのっ!私の勝手な憶測でしかないので気にしないでください!すみません、急に変なこと、言い出したりして」
また私は妙な事をぺらぺら口走っていた。もうダメだ私。口にガムテープ年中無休でするべきだと思えてきた。
「俺も……」
「?」