第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
「「「「おおおおお~~~~……」」」」
部員のみんなから感嘆の声が上がる。日向はすでにうずうずと肩が動いている。感情が表に出まくりな所が微笑ましい。
「青葉城西との時は無かったからなあ」
「テレビで見たやつ!”小さな巨人”が着てたやつ!!」
主将の横で日向はぴょこぴょこと喜々とした表情で撥ねている。
「じゃあ配りますっ!」
武田先生が張り切って宣言する。先生は手元の紙に視線を落とし、次々にユニフォームを配っていく。
「おおおおおっ!!」
私が影山さんにユニフォームを渡した瞬間、日向の歓声が響いた。何事かと目をやると、オレンジ色のユニフォームを纏い、誇らしげに胸を張る西谷先輩が仁王立ちしていた。
「ノヤさんだけオレンジだ!!目立つ!!!」
ていうか何時着たんですか西谷先輩よ。そう思っているのは私だけではないらしく、東峰先輩とスガ先輩も疑問を称えた表情で西谷先輩を見詰めている。そんな私達を尻目に、猛進コミュニケーション組は喜々として会話を交わす。
「そりゃお前!俺は主役だからな!!」
「主役!!うおおおおお……!!」
本当にあの二人は気が合うんだなぁと見ていると、影山さんはフゥと息を吐いて言った。
「ホントあいつは色々子供だな」
「そ、そうかもですね。でも…」
「? でも?」
「日向のああいう子供の様に真っ直ぐな所、私には、何だか新鮮にというか、羨ましく感じます」