第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
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音駒高校バレー部 烏野総合運動公園合宿所にて
「───で、2日後にはウワサの烏野高校との決戦なワケだが、我らが因縁の相手(らしい)、烏野に女子マネージャーは居るか否か!!」
夜も更けた合宿所の大部屋の一角で、声を張り上げたのは、派手なモヒカン頭が目を引く少年だった。モヒカン少年は鋭い眼光で眼前を睨み付けながら言い放つ。
「俺は居ない方にハーゲンダッツ!!」
「えーっ、俺は居た方が嬉しいから居る方で!」
「僕もですっ!」
モヒカン少年の深刻さとは対照的に、後輩らしき二人は事を楽しむ様に意見を示していた。しかし、二人の言葉にモヒカン少年は怒号を上げる。
「馬鹿野郎!うちには居ねえのに向こうだけ居たら悔しいだろうが!!」
「「えー……」」
「万一居たとしてゴリラみたいな奴だったら許す!!うっかりもしかして美人のマネが居たりしたら俺は絶対に許さない!!」
絶対にだ!!と宣言するモヒカン少年に対し、後輩二人は涙目だ、とただ見詰める事しか出来なかったとか。
「その時は覚悟しとけよ烏野────ッ」
「山本うるせぇぞ~」
開け放たれた窓の外へと喧嘩を売る彼に───鶏冠頭の黒髪の少年が叱責を飛ばす。モヒカン少年はそれでもめげずに、くるっと振り返りながら目先にいる少年に問い掛ける。
「おい、研磨はどっちだと思う?!」
そこに座っていたのは、金髪の輝く少年だった。
「……いる、と思う」
「ふおっ!?珍しいじゃねぇか研磨がちゃんと意見言うなんて!!」
余程珍しいのかモヒカン少年から動揺が溢れ始める。金髪の少年は手元の携帯に視線を戻し、再度いじりながら言葉を零す。
「ていうか、いるよ」
「「「!!?」」」