第4章 猫と鴉は再び兵刃を交える
彼から慌てて目を背ける。彼も不思議そうに首を傾げるが、再び顔を戻した。微妙な空気感が互いの間に流れる。
うおおおおおおおぉぉぉぉ…どーすんべこれ…!
な、何か喋った方が良いのか?何の話題が良いんだろ?好きな食べ物とか、ってお見合いかよ。
「ん、カラスだ」
不意に男性が呟いた。前方へ目を向けると一匹のカラスがゴミ袋を嘴で裂いて突いている。辺りには生ゴミや紙屑等が地面に散乱していた。
「カラスってちょっと苦手なんですよねぇ。なんだか凶暴なイメージで…」
男性は貼り付けた笑顔を浮かべながら、世間話の様な調子で話す。私は彼を横目で見る。その時何故か、口から勝手に言葉が滑り落ちた。
「そうですね。確かに──────
いつ喉笛を突かれるか分からない様な怖さがありますもんね──」
「えっ……?」