第1章 瞳の先
頭に大きくて温かい体温が二つ乗る感触がした。そしてそれは同一の感触ではない。疑問と驚きが頭を巡る。ゆっくりと顔を上げる。
─────そこには私の頭に手を置いて、呆れたように、でも温かくて優しい笑顔を浮かべる主将と菅原先輩がいた。
「全く、お前は気を遣い過ぎだ瀬戸」
「ホントだな大地。瀬戸は優し過ぎるんだ」
「えっ…?」
二人から発せられた言葉をすぐに理解出来なくて、代わりに呆けた様な言葉が零れた。徐々に二人の優しい言葉が鼓膜を擽る。それは同時に心にじんわりと染み込んでいく。
「瀬戸」
主将に呼ばれ、柔和な笑顔へ視線を移す。
「そんなぎこちない顔はやめてくれ。寂しいじゃないか」
「そうだ。だってさ──────」
主将と菅原先輩は同時に口を開いた。
「「───────」」
時が止まったように感じた。二人のことを何故か凄く眩しく感じた。その言葉を口にした時の、二人の姿が網膜に焼き付いて離れない。
『『──────瀬戸はもう仲間だろ?』』