第11章 悪寒
side
「さて、ここから何処へ行こうか…。」
そこが問題だ。
さっきお金は全てはたいてしまった。
電車で帰ろうにも帰れない……。
キィー
と耳障りな車のブレーキ音
「。」
そして
「…?」
「やだな。忘れたのか?
お前の…
父さんだよ。
父さん。」
「…!?」
『子供?そんなの無理だよ。
お金そんなのにかけらんないし。
俺は新しい生活に変わるんだからさ、子供育てんのはお前の仕事だろ?』
『新しい彼女ができたんだよ。』
『父さんは良い人よ。』
「何で…!?
何で…!!!
なんで母さんを捨てた!?
私を捨てた…!?
お前の所為で母さんは…ッ!?」
「あれ?
記憶が戻ってきてるのか?
厄介だなぁ。」
目の前の初老のオトコは少し口元を歪める。
不吉な雲が
私を覆い始めた。