第10章 起床
黄瀬said
降りしきる雨の中俺は少し沈んだ心持ちで歩いて学校へ向かって居た。
雨の日は嫌いだ。
あの日、あのコが居なくなった後も雨が降ったから。
何かの不吉な予感がしそうで嫌だ。
海常近くの公園を何気無く傘越しに覗く。
その曇った視界からベンチにうずくまる1人の女の子を見つけた。
俺は迷わず前へ進んだ。
そしてその子には
傘を差し出した。
居なくなったあのコには俺は何も
何も
できなかったから。
それが覆されたんだ。
もう…
あのコには一生会えないんじゃ無いかと思って居たけど…
あのコは居た。
俺が傘を差し出すと少し曇った顔を上げる。
昔から変わらない、綺麗に整った顔だった。