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真夏の残像(黒子のバスケ)

第10章 起床


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私は何が何だか分からないこの状況に困惑しながら
ひたすら頭の痛みに耐えた。

さっき思い出した後、また記憶の山が自分に取り込まれていく感触。

水が入っていくように…

「う…!!!」

呻き声をひたすら押し殺すが漏れる。


私はベッドから立って分厚いカーテンを開けた。

すると、外はまだ薄暗いが優しい光が街一面に降り注いでいた。
明け方だ。

私はベッドの周りをさばくって、カバンや服、少しのお金を出してそっと病室を出た。

腕に付けられていたリングは外した。

そして看護士にばれないよう、非常階段を使ってゆっくりと降りていった。

とにかく遠くへ行きたくて有り金全て使って電車に乗った。


そしてひたすら走る。




ただ、ひたすら。




ひたすら




ひたすら。





何も思わず、とにかく走った。




でももう…私は何も思い出せなかった。



私は汗ばんだ額を拭うと、近くの公園のベンチに腰掛けた。



すると一滴の水滴が目の前に落ち、模様を作り出した。



その瞬間、大粒の雨が降った。



私は雨宿りなんてしなかった。



何が何だかわからない困惑の方が大きかった。




私は膝を抱えてベンチに座った。













コッ







コッ





コッ





学生だろうか?
革靴の音が聞こえた。



私は気にせず膝を抱えた。
靴の音は近付いて近付いて…




私の目の前で止まった。




その瞬間

落ちてくる水が止まった。
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