第10章 起床
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「…ぅ…ぅ…」
分厚いカーテンから漏れる太陽の光により目を覚ます。
ゆっくり起き上がると、そこは
病室だった。
広くて広くて太陽の光が部屋の隅にまで届いていなかった。
そしてできたポツンとした闇を私は眺めていた。
すると
真っ暗闇から二つの影が浮かんで見えた。
「何があっても俺はお前を助ける。
だからもう一度笑ってくれよ…
なぁ、…!!!」
「私は…笑ってますよ。」
「無理しなくていいんだ。
お前が笑えないのは知ってるんだ。
いつか俺がお前を絶対に笑わせてやるから。
幸せな笑顔で
いっぱいにしてやる。」
「…ありがとうございます…
待ってます、ずっと。
ーーーーさん。」
私が中学二年生の頃か?
みんなが…
変化し始めた頃?
いや、違う。
私が彼等のバスケットボールについていけなくなった頃。
何でこんなきつい事、忘れてたの?
そして、こんな優しい言葉をかけてくれた人の名前も…顔も覚えていないの?
何かが可笑しい。
何かが私の知らない何かが狂ってる?
私は記憶がない?
全てではなくて…
カケラを一つ一つ落としたみたいに、
一部分だけ。
私は…
一体何でこんな事忘れてたの?
一体私に…
何が起きているの?