第8章 他人
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私は面倒になって学校から帰る途中だった。
すると1人の黒髪の女の人が居た。
私はあまり関わらなくていいように足早に通り過ぎようとした。
でも避けられなかった。
「ねぇ……
貴方、でしょ?」
私は驚いてその人の顔を見る。
私よりちょっと長めの黒髪。
そして鼻が高く薄い桃色の唇。
パッチリとした目。
美人ってこういう人のことを言うと思った。
でも彼女も笑わなかった。
笑わなかったけれど美しかった。
私は足がすくんだ。
彼女は…
鬼のように美しかった。
「ねぇ?聞いてる?
貴方、でしょ?」
悪魔のように冷たい目で全てを見透かされる。
私は掠れる声を絞って出した。
「あ…貴方こそ…どちら様ですか…?」
「あ、私のこと?
自分の事を言う前に他人の事を知りたがるのね。
…
まぁ良いわ。
私の名前は…美由紀。
貴方の……」
「どちら様ですか!!」
美由紀さんが私に対して何か言おうと口を開くとその瞬間誰かがその言葉を遮った。
「さんに…なにしようとしてるんですか?」
テツヤ君…。
テツヤ君の後ろを見ると他の人も走って来てる。
さっき会った2年生か?
「美由紀さん‼︎なんで来たんですか!?」
リコちゃんが血相を変え叫ぶ。
その顔は蒼白かった。
「あら、久しぶり。
相田さん。」
「ー…!!」
「ねぇ。
貴方は私達から…
永遠に逃げられないのよ。
フゥ…
邪魔も入っちゃったし帰るわ。
今度はカレも連れて。
また来るわよ。」
そう告げると美由紀さんは少し薄暗くなった街に消えていった。