第24章 星屑の泪
幸宏は、
困ったように笑うと、
「あはは…確かにそうですよね」
と小瓶を棚に戻した。
沙「あ…ごめんなさい、
少し喋りすぎました」
幸「いえいえ、普通の人なら
誰でもそう思うでしょう。
何も謝ることはありませんよ」
幸宏は、
私を慰めるよう
優しく声をかけてくれた。
…あったかい人だなぁ
私はそう思った。
幸「私はランプを作るのが
趣味でして…
今度は小さいのに
挑戦してみようかと図を練っていたんです」
沙「そうなんですか!
ランプをつくるのが
お好きなんですね!」
幸宏は小さく相づちをうった。
私はにっこりと微笑みかける。
沙「最近はどんなランプを
作っているんですか?」
すると、幸宏の目が
キラッと輝きを見せる。
幸「昨日は、
満天の星空と黒い海を
イメージして、丸いランプを
作ったんです。
それを月に照らすと、
プラネタリウムのように
綺麗に風景が反射するのです」
沙「いいですね!」
幸「そして、そのランプは
特別潮風だけに反応して
消える仕組みになっているのです」
幸宏は、自慢げに
鼻の下を指で擦った。
沙「消えるって、潮風にだけで?」
幸「だけです」
沙「すごい!!」
幸「でしょう!」
私たちは女子高生の
ようにキャッキャとランプの話に
花を咲かせまくっていた。
幸宏さんと話していると、
まるで両親と話をしているように
心が温かくなる。
…幸宏さんは素敵な人だなぁ
私は、興奮して
ランプについて熱く語る
幸宏の目をまっすぐに見つめていた。