第24章 星屑の泪
優しい顔をした刈真を見て、
翠はグッと心を奪われたように
釘付けになった。
彼の笑みをずっと
忘れないでいたい。
自然に笑みを浮かべていて、
翠は刈真の前に歩み出た。
刈真が不思議そうに
翠を見る。栞鳳も同様だった。
翠は、にっこりと
可愛らしい子供のような笑顔を見せた。
翠「そっか!
じゃあアタシがいなくても
もう大丈夫だね!」
その一言に、栞鳳の顔が変わった。
だが、刈真は気づかない。
刈「どうしたんですか急に。
まるで何処か遠くへ
行ってしまうみたいな言い方をして…」
刈真は
困ったような笑みを浮かべた。
翠は彼らに背を向けて
また話し出す。
翠「わっかんないよぉ~?
もしかしたら
この旅行が私たちの
最後になっちゃうかもしれないじゃん?」
刈「そんなこと…。
ある訳ないでしょう?
だって卒業では
ありませんし、まだ夏休みですよ?
沙織も
翠さんとたくさん
お出かけしたいって言ってますし」
刈真は「冗談はよしてください」
と最後に付け足した。
翠はこちらに顔を
向けようとしない。
隣の栞鳳も、
何も言おうとしなかった。
翠「…お出かけかぁ。
たくさんしたいなぁ」
翠が一言そういった。
刈「旅行が終わったら、
一緒にどうですか、」
翠「…学校もたくさん行きたいなぁ」
刈「そういえばちゃんと
宿題やってますか?」
翠「ずっとみんなといたい」
その時だった。
―――――――ザザッ
刈「え?」
翠が、
消えかかって見える…?
―――――――――ザザッ