第24章 星屑の泪
刈真は受け取ったカップを
口につける。そして飲み始めた。
その時、私は
あ!と思い出す。その珈琲は
優一好みの苦さにしてある。
つまり凄く苦いのだ。
だが気づいたときには
もう遅く、刈真はすぐに
カップを口から離した。
本当に苦そうに顔をしかめている。
翠は、そんな刈真を見て
ニヤニヤしていた。
(まさか、翠さん刈真君を罠に…)
翠「はっはっはっ!!
警戒しないとは愚かな!
気を付けないと毒りんごも
簡単に食べちゃうよ?」
軽快に笑う翠を
睨むように見つめた刈真は、
袖で口を拭くと、溜息をついた。
刈「翠さんは優しさの
か、け、ら。 もない人ですね」
”かけら”の部分を強調した刈真は、
呆れたような視線を翠に向ける。
その目が痛かったのか、
翠の態度が一変して静かになった。
翠「うう…刈真君は
やっぱりアタシが嫌いなのかぁ」
沙「!そんなことありませんよ!」
私は頭を振りながら翠に言う。
刈「嫌いなんて思ってませんよ」
沙「ほら!ね?」
私は翠に微笑むが、
彼女は納得の行かない顔をして
けれどすぐに
「まあいっか!」と笑顔になった。
…本当に明るい人だ。