第24章 星屑の泪
刈真は私に顔を向ける。
小さく開いた口が、
「おはよう」と動いているのが見えた。
私もおはよう、と笑顔を見せる。
刈真も微笑んでくれた。
彼は優一に目線をずらすと、
少し困ったような笑顔を浮かべた。
刈「如月さん早いですね。
僕、朝は弱いんですよ」
優「何か目が覚めただけ…。
つまんなくて隅のボックス
開けたら…埃出てきたから、
驚いてリビングに下りてきた…」
刈「ああ、だから
窓側の床が汚れてたんですね。
掃除しておきましたから、大丈夫ですよ」
優「流石嶋瀬…」
優一は刈真を褒めると、
「散歩」とだけ呟いて
刈真の横を通り過ぎた。
リビングから優一が出た直後、
翠が入れたての珈琲を運ぶ。
先程と同様テーブルに
カップを置いたわけだが、
リビングを見渡してもいない
優一の姿に首を傾げ、最後に
私たちを見つめて言った。
翠「あれ、優一トイレ?」
私は「散歩です!」と言う。
「今行ってしまいましたよ」と
刈真が付け足してくれた。
すると、なんだ…と
いうように溜息をつく翠。
背伸びをしてからこちらに
近づくと、刈真に向かって
「おはよー」と笑った。
翠「てか優一、せっかく
珈琲入れてあげたのに…」
刈「あ、じゃあそれ
僕が頂いてもいいですか」
刈真に目を向け、
翠は「うーん」と首を傾げる。
「実は刈真君のもう入れてるんだけど」
そう言いながらテーブルに
近づき、すぐに
こちらを向いて
「でも、もうコレ冷めちゃってるから
いいよ。刈真君にあげる」
と優一の飲むはずだった珈琲を
刈真に差し出した。