第24章 星屑の泪
ソファーの前にある
センターテーブルに翠は
コーヒーカップを置いた。
私も同じようにテーブルに置く。
翠は四つの中から、
ひとつのカップを手に持つと、
優一に愛想のいい笑顔で
「はい!優一の分!」
と珈琲を差し出した。
テレビ画面から目を離した
優一は、ボーッとした目で
翠を見る。そしてふにゃっと
笑顔をつくり、カップを受け取る。
私はそれをじっと見ていた。
(大丈夫かな…)
翠は、ワルーイ顔で
優一のことを見下していた。
とても苦い珈琲とは知らずに
口へと運んでいく優一。
心では、少しハラハラしていた。
優「!!!」
(!!!苦かったか!?)
優一が一瞬大きく目を見開いた。
それを私と翠は見つめる。
優一は静かにカップを
顔から遠ざけると、翠を見た。
翠「どう?アタシの珈琲」
ニヤニヤとした翠の顔が見える。
優一は少し間を置いて、話した。
優「これ…」
優「すげぇ美味しい…」
「「えっ!!?」」
予想外の反応に、
私は驚いた。同じように翠も
びっくりした目で優一を見ている。
本当に美味しそうに
珈琲を含む彼の笑顔は、
とても痩せ我慢な芝居には見えなかった。
「な~んだぁあ~~」
翠は大きく溜息をつく。
「優一、苦いの好きだったのぉ~」
呼ばれた名前に、優一は
またふにゃっとした笑顔を見せた。