第24章 星屑の泪
棚からそっと容器を取り出す。
本当に砂糖かな、と
確かめてみると、
私は気づいた。
(この砂糖…黄ばんでる…?)
容器の中に入っている砂糖は、
見る限り黄色く変色していた。
見る人からしたら、
これは砂糖には見えないかもしれない。
これを珈琲に入れるのは
流石に遠慮してしまう。
私はその容器を棚に戻し、
まるで今棚を開けたかのように
最初の状態に戻った。
翠「沙織、砂糖あった?」
後ろから翠の声がする。
きっと私を見て首を傾げているだろう。
私は棚を閉めると、
翠に向き返り、首を横に振った。
沙「なかったです。残念ながら」
そう言うと、翠は
「あちゃー」と額に手を添える。
翠「仕方ない、
大人の珈琲ってことでいいか」
沙「それでいいと思いますよ」
翠「じゃあ優一には最後に入れた
もっとも苦い珈琲をあげよう…」
沙「あ、じゃあ私も一緒に
持っていきますね」
私は自分の分と、
もうひとつのコーヒーカップを
抱えると、翠の後に続いてキッチンを出た。