第23章 さあ!海へ!!
連は、缶ジュースを
もう一度口に含む。
今度はたっぷりと。
ごくん、と喉を鳴らすと、
栞鳳に感じのいい顔を向けて
「栞鳳君はそういうとこ鋭いねぇ」
と言った。
栞鳳もにこっと
笑顔をつくる。
栞「だって、僕も好きだったし?」
連「!? そうなの!?」
連は、これでもかというほどの
大声を出した。栞鳳が耳を塞ぐ。
そして、その声が
聞こえたのか、琴音や大河たちが
「どうしたー?」と叫んでいるのがわかった。
なんでもない、と
大きく手を振った。
振り終わると、
さっと栞鳳に向き直る。
連「すす好きだったって本当?」
栞「そんなに大人が
動揺してどうするの。
同じ人を好きになるのに
悪い理由でもある?」
それはそうだ…。
でも、この栞鳳君も好きだったなんて。
連は、
静かに海の方を向く。
沙織と刈真が、
楽しそうに泳いでいるのが見えた。
少し、刈真君が羨ましい。
そんな目で見つめていた。
栞「沙織ちゃんって、
人一倍涙を流して、
人一倍苦しんで、
そして人の何百倍も
自分のことが大っ嫌いな子なんだ。
そんな彼女だったから、
沙織ちゃんも、僕らも
今の楽しい毎日があるってこと、
僕、すごく有難いと思うんだよね」
栞鳳が、缶ジュースに
初めて口をつけた。