第23章 さあ!海へ!!
潮風が吹いて、
栞鳳のつくった砂山が
少しずつ小さくなった。
海は、相変わらず美しい。
栞「沙織ちゃんって、
可愛くて、真っ白で、
僕、ずっとずっと好きだった。
どの色にも汚したくなくて、
初々しくて、誠実で。
だから、
壊したくなっちゃったの」
連「…え?」
連は、
目を丸くする。
栞鳳はいつもの笑顔で
なんでもないことのように話しだした。
栞「悲劇にどっぷりと
浸かって、もがき苦しむ姿って
1番綺麗な姿だと思ったんだっ!
あの頃の刈真君も、
随分と綺麗だったからなぁ。
思い出すと、こうゾクゾクするよ…」
連「っ…」
連は、栞鳳から
目を離せずにいた。
…なにを言い出すのだ、この子は。
連の脳内で警報が鳴り響いた。
だが、その音はすぐに止む。
栞鳳が、こちらを向いて
「驚かせてごめんね」
と申し訳なさそうな顔で
謝罪してきたからだ。
栞「でも、僕の考えは
間違っていたらしいんだ。
それを、沙織ちゃんが
止めてくれたの。正確に言うと、
沙織ちゃんと愉快な仲間達、かな?
沙織ちゃんのまわりには、
沙織ちゃんに助けられた人が
沢山いるんだ。そして、その
沙織ちゃんを支えられる人も、
今そこにいる」
栞鳳が、刈真を指さした。