第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
栞「…それで、
カフェについたら
僕と彼女がいるのを発見した、と。」
女の子は頷く。
「私…今まではすごく
良い人だなって二人を慕ってた。
だけどっ…沙織さんが
来た途端にそのイメージがどんどん崩れて。」
彼女の目を私は見た。
その瞳は、
深く、そして哀れさが混じっている。
きっとそれ程までに
実咲と奈菜美を尊敬していたのだ。
だからこそ、
まるで裏切られたように感じたのだろう。
グッと、下唇を噛んでいた。
「沙織さんをいじめてる事も
私、知ってたんです。
ずっと、見てました。
信じてた先輩だったから
怖くて…逆らえなかったけど…っ
また、このまま
いじめが続くなら…」
「そんなの…嫌だ!!」
女の子の目に涙が溜まっている。
本当は、そんな言葉を言うのも
怖いのだろう。
もしかしたら、
彼女もまた、苛められるかもしれない。
それなのに、
私の…いや、皆の為に
勇気を出して話してくれた。
「…ありがとう…。」
心の底から、
彼女の勇気に感謝した。