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「 水色の革命 」

第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ





「私、実咲さんが
 店長に話してたとこ、見たんです。」









その日はサービスデーで、
いつもより人が多かった。

自分はそこまで上手く回せないが、
とりあえず、他の皆の邪魔に

ならぬよう、在庫の確認などに
まわっていた。




「…あともうすぐ…っと。
 これで終わりかな。」




確認が終わり、メモを
胸ポケットに入れて会議室へ向かった。

そこのファイルに、
在庫の輸入先などが
事細かく書かれているからだ。


颯爽と扉の前まできたのだが、
何やら中から、女性の声が聞こえた。



(…?誰だろうか…?)




別に、普通に入っても
いいと思うが、もし女性も
何か用事があったのなら、

邪魔をしてはいけない。


そう思って、扉にかけた手を引っ込めた。






…だが、やはり気になって
扉に手をかける。


早くこっちを終わらせて
店内に戻らなくてはいけない。

私は、少しだけ扉を開けて、
中を探ることにした。




(あれ…、美咲さんと店長だ。)





ふたりは何やら真剣に
話し合っているようだった。


聞いてみると、どうやら
実咲さんの母親さんが倒れたらしく、

すぐにそちらへ向かうとの話だった。


狭い視界から懸命に
覗く自分の姿を想像すると、

なんとも恥ずかしくなる。



こんなことしてはいけない…。



私は、
話を盗み聞きしたことを後悔し、
そっと、扉を閉めた。









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