第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
栞「実咲さん、君の正体
ここのぜーいんに知られちゃったね?」
フフフっと口に手をあて、
馬鹿にしたようにせせら笑う。
その腹立たしい行為に、
実咲はぐっと下唇を噛んだ。
実「…っ、店長!!
私はこの悪い奴に騙されたんです!!
信じてくださいっ!!!」
熱くあてられた視線に、
店長は混乱してしまっている。
実咲は前々からこの店で
共に頑張って働いていた苦労人だ。
そんな彼女を、栞鳳の言葉で
信じてあげないのはどうなのか…。
訳のわからない憤りが胸の奥に湧く。
どうすればいいんだ。
店長の表情はそう語っていた。
実「私のことは信じてくれないんですか!?」
栞鳳は、実咲の前に
堂々と立ったまま、何も言わない。
私は、実咲の一言一言に
胸がざわついた。
沙「…『信じる』って…
そんな言い訳に使うものじゃない…っ」
実「はあ!!??」
沙「っ!!」
店長へ向けていた目が、
私のほうへ突き刺さる。