第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
沙「か、会長さ…っ」
私が思わず言葉を発すると、
栞鳳はこちらに向かってピースをした。
そして、一言。
『 最後のマッチだ 』
と口を動かして微笑んだ。
私はその笑顔を見て、
不思議と自分に力が湧いた。
元気よく、力強く頷いて
私も実咲達へ顔を向ける。
奈菜美は、訳がわからないと
いうような顔で呆然と立ちすくむ。
実咲はまだ気が動転しているのか、
拍子抜けしたような顔をしていた。
栞鳳が、ツカツカと前へ踏み出る。
すると、店長が言った。
「なっ、何がなんだか分からないが
この動画に映っている男は君なのか!?」
栞「うん。その男、
僕しかいないでしょう。
ついでに動画を送ったのも僕だよ。」
栞鳳がにっこりと笑う。
その不思議な佇まいに、
店長も、連も、オドオドとした様子で
ぎこちなかった。