第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
沙「…明日は、頑張ります。」
立ち上がった栞鳳を見つめながら、
私はにっこりと笑った。
栞鳳は、
実に吹っ切れた美しい顔をしている。
栞「沙織ちゃん達は、
バイトが終わったら海に行くんだっけ?」
沙「え?あ、はい!」
栞「そっかぁ、僕も一緒に行きたいなぁ。」
沙「あ、じゃ、じゃあ一緒に行きますか?」
沙織が返事をすると、
いかにも狙っていたかのような
笑顔を浮かべる。
栞「本当?沙織ちゃんからのお誘いは
しっかりと受け取らないとなぁ~?」
沙「あ、あはは…。」
清々しい顔をする栞鳳は、
夜空を眺めながら 静かに呟いた。
栞「明日、頑張ってね。」
沙「…。はい!」
それから、ほんの少しの間、
私は栞鳳と共に
なんにもない夜空を眺めていた。