第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
カチャン…と
扉がしまる音がする。
翠「会長、行っちゃったね。」
先程の険しい表情から
気楽な表情になった翠は、
まあいいか、というように
安堵の微笑を浮かべた。
丁度隣に立っていた優一は、
もう眠いのか、ウトウトとして
時々頭が下にガクッと落ちていた。
翠「あれ、優一眠いの?」
優「ん…。」
返事をするのもめんどくさそうな
顔をする優一を見て、
翠は阿呆みたいだとケラケラ笑っていた。
翠「そっか、じゃあもう寝なきゃね!」
優「ぅん…。」
刈「如月さん、今日は協力してくれて
ありがとうございました。」
刈真は、感謝の気持ちを込めて
柔らかく、親しみのこもった笑顔を見せた。
優一は相変わらず眠たそうな目をしている。
優「…嶋瀬。」
刈「はい。」
優「礼に今度物理教えろよ…。」
刈「はい、わかりました。」
刈真が頷くと、
優一は猫が昼寝をしているような顔を
ふにゃっと笑顔にさせた。