第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
不気味な何かを
感じながら走り続ける奈菜美。
その途中、
壁に頭をぶつけて倒れ込んでしまった。
奈「いっ…は、早く逃げな…っ」
恐怖だけで頭が
埋め尽くされ、思うように
足も手も動かなくなってしまった。
奈菜美は焦る。
下からゾワァァと
全身にかけて鳥肌が立った。
もう目の前に不気味な何かを感じてしまったから。
不気味な何かは
奈菜美のすぐ近くにまで寄ってくる。
そして、声が聞こえた。
『 お嬢さん 遊びましょう? 』
奈「ひぃっ!!?」
透き通っていて、掠れていて、
その女の声は奈菜美の耳に
しっかりとこびりついた。
恐怖にガクガクと膝が震え、
真っ暗な辺りを見つめ続ける。
『 ねぇねぇ お返事は? 』
先程よりも強く聞こえてくる。
もしいいよと言ったら
あの世へ連れて行かれてしまうのではないか。
だが、嫌だといって
機嫌を損ねられてもおしまいだ。
異常な事態の中で
奈菜美は必死に考え込んでいた。