第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
心臓の高鳴りを抑えきれぬまま
刈真の家へと向かった奈菜美。
いったい彼の家は
どんな感じなのだろう…
新居、いや、古風な感じか…。
色々な空想を
抱きながら気づけば刈真は立ち止まっていた。
奈菜美もそれに合わせて足を止める。
刈「ここが僕の家です。」
そういって紹介された家は…
なんとも素朴な家だった。
栞「あーれが刈真君の家って
思い込んでるかな、ちゃんと。」
翠「あの家は 沙織 の家だからね!
ってか、もう刈真君の家を
知ってしまったアタシ達には
ここが家なんて思い込めないよ…(汗)」
栞「お、ちゃんと思い込んでるみたい☆」
素朴といっても、
以外と新しく綺麗な方だろうか。
流石刈真だ。
清潔さもにじみでている。
奈菜美は瞳を輝かせながら
淡々と頷いた。その直後、刈真が言う。
刈「じゃあ、どうぞ先に入ってください。」
奈「え、先に私が?」
隣で優しく微笑みかける彼は、
なにも言わず、頷いただけだった。
不思議な気持ちと
なにかの特別感と
申し訳なさの思い。
全てが疑問となり、
雲のごとく頭の中に沸き起こる。
だが、考えるのもめんどくさくなった
奈菜美は、一切の思考を拒否し、
悠々と刈真(沙織)の家へ
入っていった…。