第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
「あれ、奈菜美さん?」
奈「…え?」
聞こえてきた声に
奈菜美はゆっくりと振り返った。
すると、奈菜美は
口をポカンと開ける。
刈「奇遇ですね、帰りですか?」
優しくこちらに近づいてくる影は
奈菜美が今もっとも
好意を寄せている刈真だった。
普段着らしい彼の身にまとっている服は
なんとも夏らしく、爽やかだった。
会いたい人にあった奈菜美は
もう疲れなんて忘れて小走りに近づいた。
奈「うんっ 今帰りなの!」
上目遣いは上出来だ。
そして案の定
刈真は「そうですか」と
爽やかすぎる笑顔をみせた。
胸をぐぅっと付いてくるような高鳴り。
今すぐにでも火山のように
噴火してしまいそうだ。
刈「僕も今、丁度帰りなんですよ。」
奈「そうなの? お出かけ?」
刈「いえ、散歩です。」
奈「そうなんだ!じゃあ一緒に帰ろう?」
刈「はい。」
笑顔の彼を誘うことに
成功した奈菜美は、
密かにガッツポーズをした。