第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
憂鬱そうに
溜息をつくと、
栞鳳は手元に置いてあった
ミルクティーを飲み干した。
少しだけ
口から雫が垂れてくる。
いわゆる色気攻撃だ。
実咲はまんまと引っかかり、
栞鳳が垂らす雫に釘付けになっていた。
栞「ぷはぁー。あっ
ごめんなさいっっ」
栞鳳は慌てて
雫が落ちたテーブル上を拭く。
その時、実咲が
いいのいいの!と止めに入った。
自分が代わりに
テーブルを吹き始めると
栞鳳が優しく微笑んだ。
栞「実咲さんは…素敵な人だね…。」
実「えっ!?」
実咲は驚いて手を止める。
栞鳳は、何事もなかったように
席へ座る。
実咲も少し顔を赤くしながら
席へ座った。
実「そ、それでさっきの話は!?」
栞「え?…」
実咲は、
この恥ずかしすぎる
空気をどうにかしたいと、
先程の話に戻そうとしたのだ。
栞鳳は「ああ…そうだね。」と言う。
そして、また
まもってあげたくなるような
目をして語りだした。