第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
「いらっしゃいませー。」
店内に入った実咲は
すぐに栞鳳を発見した。
足取りを軽くして栞鳳に近づく。
すると、彼も
愛想のいい笑顔を返してくれた。
栞「よく抜け出せたね!
仮病でも使った?」
実「嘘ついて抜けてきちゃった!
うちの店長まじチョロイからさー!」
楽しいという気持ちを
抑えられない彼女は、
ベラベラと喋りだしてしまった。
栞「えっと…実咲…さんだよね?
実は僕もフード店でバイトしてるんだ。」
実「え!そうなのぉー??♥♥♥」
栞鳳はうんと頷く。
その後、少し怯えるように肩をくすめた。
栞「でもなんかあの店にはね?
ものすっごい怖い人がいるんだ。
その人新人を虐めるのが
日課みたいでさ!?」
実「いるよねー!そういう奴ー♥♥」
実咲は目を♥にしたまま頷く。
栞「僕もこの前
「とっとと辞めればいいのに」
とか言われちゃうしさ…っ」
実「なにそれ!?人間のクズじゃん!!」
実咲は栞鳳のいうことに
すごく同情してくれる。
それが自分のことだとも気づかずに。
栞鳳は実咲に気づかれない程度に
ニヤリと口角をあげた。