第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
―――フード店にて
実咲は 非常に焦っていた。
昨日、沙織を
冷凍庫に閉じ込めたまま
忘れて帰ってしまったからだ。
お店に重ーい足取りで運び、
店長を発見すると
心臓が跳ね上がった。
実「てっ 店長…?」
実咲は精一杯の苦笑いで
店長を呼ぶ。
「どうしたんだい?」
実「け、今朝…あのぉ~
なんか…変わっ…たことありませんでした?」
実咲は
噛み噛みに言葉を発する。
すると、店長は
頭にハテナマークを浮かべた後、
「いや、特になかったよ。」と微笑んだ。
実「(焦ったぁ~。あいつ抜け出したんだな。
あ~~良かった良かったぁ~)」
「ああ それより美咲くん。」
実「はっ!はい!?」
店長の言葉に
実咲は驚いて声が裏返った。
「今日はサービスデーで混むから
どんどんお店回していってね。
シフトに入ってる人数も少ないから。」
実「あ、はい!」
実咲の元気良い返事に
店長は安心したのか、
自分の仕事の方へいってしまった。
その時、後ろから
奈菜美の声がした。