第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
私は精一杯の力で
重たい扉を叩く。
沙「美咲さんっ出してっっ!!?」
必死な声は
彼女には届かなかった。
実「あたしに逆らうとこーなるんだよっ!!
バーカッ!!!
そこで頭でも
冷やしてなっっ!!!!
叫んでも無駄だよっ!!
店長と先輩は出張してるし
ここは人がめったにこないからねぇ!!!」
背筋が凍るような
投げやりの言葉。
後から聴こえてくるのは
実咲の私を馬鹿にした笑い声だった。
沙「そんなっ…出してっ!!
こんなとこに閉じ込めたら死んじゃうっ!?
ヤダッ出してっ!!
出してっ!!!!」
ドンッ ドンッ
いくら叩いても いくら叫んでも
一向に
扉が開く気配はない。
沙「美咲さんっ!?寒いよっ!!
出してよっ!!!ねぇ!!ねぇっ!!
ダシテッ!!ダシテヨォ!!!!!」
ドンッ ドンッ
「――――っ!!」
「―――――!!!?」
実咲は、泣き叫ぶ
彼女をお構いなしに
冷凍庫の前に食品のカートを置いた。
実「これでよしとっ」
フンと鼻で嘲笑う。
実「あいつみたいな生意気野郎は
40分ってところかな。
死なれても困るしねw」
実咲は、
何事もなかったように
店内へと向かった。
沙「…ダシテ・・・ェ」