第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
目の前に
怪しく笑う彼女の顔が見え、
手が押さえつけられて動かない…っ
(ど、どうしたら…っ!)
奈「さっき、刈真君私のこと
『価値のない人間』って言ったよね?
じゃあ刈真君のことも
価値のない人間にしてあげるっ!!!」
彼女が叫んだと同時に
顔が近づいてきた。
獲物をとるかのように
恐ろしい目を輝かせて。
その瞳に
胸が張り詰めてくるのを感じた。
唇が今にも触れそうだ。
僕は必死に
それを回避しようと
首を動かし、なんとか逃れることができた。
額に脂汗が滲み、
ひやりとした圧迫感を感じる。
刈「はぁ…っはぁ…」
奈「…そこまで沙織ちゃんが大切…?」
奈菜美は冷たい表情をする。
刈「そうですね…っ。」
奈「…。」
奈「 オチなよ 」
刈「えっ?…!!」
耳元で何かを言われたすぐ後に
首筋に何かがガリッと音を立てて噛んできた。
刈「!?いたっ!」