第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
刈「奈菜美さん…?」
奈菜美は
後ろ手で扉の鍵を閉めていた。
俯いたまま、
ゆっくりと迫ってくる。
奈「刈真君って…本当優しいんだね…。」
刈「…。」
変に冷や汗をかく。
今、この状況を脱出するには
どうしたらいいのか。
それを考えるために
頭を活発に動かしていた。
奈菜美は序々にこちらへ近づいてくる。
そして、
考えが浮かばないまま
彼女は僕の目の前まで来てしまった。
奈「だから…騙しやすいんだよねぇ?」
刈「っ!?」
奈菜美が気味の悪い笑みを
浮かべた瞬間、
強い力で後ろへダンッと押される。
僕は体制が崩れ、
テーブルの上に
仰向けに倒れてしまった。
(しまった…っ油断してたっ)
すぐに起き上がろうと
腰を動かした次の瞬間。
奈菜美は僕の上に乗ってきた。
刈「なっ…!」
奈「刈真君って案外弱いんだね?」
僕は背筋が凍るような気がした。