第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
僕は奈菜美に腕をとられながら
歩いていく。
やがて二分ほど経ったところで
「ここだよ」と足を止めた。
奈「ここの個室で仕事してるの。
なんか、静かで角の部屋だと
落ち着くんだって。」
刈「確かにここなら落ち着きそうですね。
誰もこなさそうですし。」
奈菜美は「店長も面白いよね」と
笑うと、扉に手をかけた。
刈「じゃあ、僕はここで待っています。」
奈「え!やだっ一人で入るの怖いよっ!?」
刈「でも…話なら
僕がいない方がいいのでは…?」
奈「刈真君なら大丈夫!!
ささ、入って入って!!!」
刈「ああ…はい…っ」
僕は
奈菜美に引っ張られながら
個室へと入っていった。
割と広い部屋だ。
中央にはU字型のテーブルが置いてあり、
黒くオシャレなチェアが並べてあった。
壁際にはお店の資料であろうか、
沢山のファイルが詰まれた本棚が。
だが、肝心の店長の
姿が見当たらなかった。
刈「奈菜美さん、店長さん居ませんね…」
僕は部屋を
キョロキョロと見渡した。
その直後だった。
カチャッ
刈「…?」
ふと違和感を覚えた。
今、何かの音が聞こえなかっただろうか。
刈「…奈菜美さん…?」
僕は後ろを振り返る。
目を疑った。