第22章 ✝バイト戦記✝Ⅲ
僕がやっとのことで
店内へ戻れると思い、
控え室から扉へ移動しているところだった。
沙織が
着替え室から出てきたのは。
僕はどうしたのかと思い
沙織に話しかける。
すると、
「大丈夫」と笑顔を見せて
店内へ戻ってしまった。
ここ数時間経った頃で
沙織の様子が随分違う気がする。
モヤモヤとする頭を
振って、僕は店内へ戻ろうとした。
ガチャッ
刈「!!っ」
奈「あっ」
扉に手を掛けようと伸ばした時に
店内から奈菜美が入ってきた。
僕はほんの少し退く。
奈菜美は僕を見ると
にっこりと笑ってきた。
奈「刈真君っ!」
彼女は笑顔を絶やさずに近づいてくる。
僕はその度に後退りをした。
刈「先程はすみません。あんなことを言って…」
奈「ああ、いいのいいの!
いきなり抱きついた私も悪いもんっ」
奈菜美はフフッと
口元に手を添えて笑った。
何故か仮ものみたいなのは気のせいだろうか。
僕も口角を上げると、
「じゃあまた」と言って
奈菜美から離れようとした。