第21章 ✝バイト戦記✝Ⅱ
どうして
あんな子が見てもらえているの?
地味で
ぎこちなくて
臆病で
何もかもが不完全で
どうして?
美紀は、
ザワザワとした胸を抑えた。
喉にこみ上げてくる
威圧感は、自分の首を絞めていった。
美「…。」
え、なんで?
美紀は、
自分が馬鹿らしく思えた。
どうして、
こんな感情をあの子に抱いているの?
どうして… ″嫉妬″ なんて…?
自分は
あの子よりも頭がいい。
あの子よりも手が器用。
あの子よりも注目を浴びてる
あの子よりも可愛いはず
あの子よりも友達は沢山いる
なのに、なんで?
美「どうして…こんなに胸が痛いの?」
自分に降り注いでくる
敗北感と喪失感。
何で埋めたらいいのかわからない。
何で癒せばいいのかわからない。
どうすれば?
どうすれば?
美「…簡単なことじゃない…。」
そうだ。
あの子を 苦しませればいい。
美紀は、
真っ黒な渦に
手を伸ばしてしまっていた。
それが 自分を傷つけるとも知らずに。