第21章 ✝バイト戦記✝Ⅱ
琴「ねぇ、美紀。」
美「?なにかしら。」
琴音は、
一旦作業をやめて、俯いた。
琴「昔、沙織って虐められてたんでしょう?」
ガンッ!!!
琴「え!美紀!?大丈夫!!?」
琴音が呟いた瞬間、
美紀の持っていた石鹸の袋が
地面へ叩きつけられる。
美「あ、ええ…大丈夫!」
美紀はさっと石鹸を拾い、
棚に戻した。
琴「・・・。」
琴音は、口を半開きにしたまま動かない。
美紀は、少し居心地悪そうに
手元がそわそわとぎこちなかった。
いったい・・・どうしたのだろう。
琴音は、
美紀の行動に違和感を覚える。
琴「ねぇ、美紀。」
美「な、なに?」
琴音は、ひと呼吸終えてから、
真っ直ぐに美紀の目を見た。
琴「美紀が沙織を虐めてたって…
本当なの…?」
美「!!っ」
一瞬、美紀の目が揺らいだ。
琴音は、すぐに理解する。
琴「(本当だったんだね…)」
琴音は、
動揺している美紀に一歩近づくと
優しい笑顔で彼女の手を握った。