第17章 信じてるから笑うんだ
息切れをしながら、
必死に出口へと迫る。
外へ出ると、『あの人』がいた。
あたりはもう真っ暗だ。
天空では星が散りばめられている。
その光景に、一瞬うっとりとした。
後から 刈真もやってくる。
私は、『あの人』に話しかけた。
沙「…どうしてきてくれたの…?」
『あの人』は、
顔を伏せる。風が、髪を揺らしていた。
?「…。」
沙「…ありがとう…。
お兄ちゃん。 」
刈「!!!??お兄ちゃん!?」
隣で、衝撃の発言に
刈真は目を丸くして驚いていた。
私は、兄に再度話しかけた。
沙「お兄ちゃん…黒翔 神(こくしょう じん)。
真っ黒な服を纏い、
夜の街を駆け抜けていく
『睨みの殺し屋』と呼ばれている男。
ねぇ、お兄ちゃんでしょう?」
刈「お兄さんだったんですね…。」
私の呼びかけに、神は顔をあげ、
私に柔らかい笑顔を見せてくれた。
神「…久しぶり…だ…な…。」
神の表情は、
とても悲しそうにも見えた。