第17章 信じてるから笑うんだ
『あの人』は、
ゆっくりとしゃがみ込み、
栞鳳の頭を撫でる。
その光景は 私達には刺激が強すぎた。
全くわからないのだ。
先程までは憎むほどの目をしていたのに
今ではまるで、幼い子を見るような優しい目に。
その変化には
私はもう慣れている。
でも、やはり刺激が強すぎた。
『あの人』は栞鳳の頭を
撫でながら、そっと呟く。
?「…お前…は…。
あいつらと…共…に…
自…分の…居場所を探せ…。」
低いその響きは、
今度は安らぎの音となった。
栞鳳は、聞こえたのか柔らかに
微笑むと、静かに寝息をたてた。
?「俺のようにはなるな…。」
私達は、ずっと、見ていた。
すると、『あの人』がこちらへやってくる。
私は緊張して、固まってしまった。
刈真は、私をそっとかばってくれる。
『あの人』は、
私達ふたりをみた後、
あの四人の方へも目を向ける。
優「…。」
美「っ。。。」
翠「…?」
大「???っ」
琴「…。」
?「…。ありが…とう…。」
「「「「へっ?」」」」
四人は、『あの人』の言葉に
驚いていた。『あの人』は、優しく笑う。
そして、出口の方へ
一瞬で走り去ってしまった。
沙「!!!っまって!!!」
刈「!?っ沙織っ!!」
私は、『あの人』の後を全速力で追った。