第17章 信じてるから笑うんだ
翠「沙織!!!大丈夫だった!!??」
沙「翠さんっっ!!!」
私はぜぇぜぇと息が荒い翠に
抱きつく。翠は私をすぐに抱きしめてくれた。
翠「怖かったねっ苦しかったよねっ。
もう大丈夫っ大丈夫…大丈夫だよ…。」
翠は 私の背中をさすってくれる。
それだけで、私は落ち着くことができた。
その後、優一、大河、
美紀、琴音とも
顔を合わせる。
皆、私の落ち着いた表情を見ると、
安心したように涙と息を漏らした。
その時、あの男が笑う。
私達全員は、すぐに
声のする方へ体ごと向いた。
栞「あははっ…はははは!!!」
沙「栞鳳君…っ」
栞鳳は 小型のナイフで
宙を切り始めると、私達に顔を向ける。
その表情は 悲しいのか、泣いていた。
刈「沙織、離れて。」
沙「っ…大丈夫…。」
栞鳳は、虚ろな瞳を動かし、
にっこりと微笑んだ。
栞「みんな…きったない色だ…。
真っ白で綺麗な沙織ちゃんを返して…?
僕を…返して…?
僕の…
僕のことを誰か止めてよっっ!!!!!」
栞鳳は、目に見えない速さで
私達に突進してきた。
大河は美紀を抱え、
すぐさま栞鳳を避ける。
翠、優一は 反射神経がいいので
余裕で避けられた。
私は 足が動かない。
沙「刈真君っ逃げて!!!」
私は、まだ側にいる刈真に怒鳴る。
刈真は「僕は君を守る」と言い、
私の前に覆い立った。
沙「だめっ!!!刈真君!!!!!!!!!!」
――――お願い…助けて…っ
――――私の大切な人を奪わないでっ!!
――――助けて…っっ
―――― 『誰かぁっ!!!!!!!!』