第17章 信じてるから笑うんだ
私は 一瞬でぶわっと汗が滲んでくる。
早く栞鳳から離れなきゃ…!!
でも…足が動かない…っ!
予想もしていなかった出来事に
私は当然怯え、足が思うように動かなかった。
栞鳳は、笑顔のまま。
栞「…僕ね。一回だけ、
人を殺してみたかったんだ。
汚い絵の具に塗りつぶされた 人 を。
中学生の時に、
ある生徒を殺そうと思ったんだ。」
私には 栞鳳の言っていることがわからない。
人を殺したかった…?
そんな馬鹿なこと、あの優秀な人がやるわけない。
でも
そんな人こそ 自分の感情を
抑えることができない…って、
本にも書いてあったような。
栞「そいつはね?
もの凄い頭がいいんだけれど、
時々狂ったみたいにおかしくなるんだ。
話しかけようと思ったら
まるで幼児みたいに
意味のわからないこと言ってさ? 」
…幼児…?
…頭が…いい…?
私は、栞鳳が誰の話をしているのか
わかってしまった。
沙「…っ言わないでっ…」
栞「ん?どうしたの。沙織ちゃん。」
沙「…を…っ言わない…で!」
栞「?」
沙「刈真君を悪く言わないでぇっっっ!!!!」
私は 栞鳳に襲いかかった。