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「 水色の革命 」

第17章 信じてるから笑うんだ



栞鳳は 私の膝蹴りを入れられ、
苦しそうに腹を抱えながら咳を込んだ。


私は 涙も流したまま
栞鳳を上から睨みつける。



栞「ごほっえほっっ…うっ…ごほっ」


沙「…えっぐ…うぅ…ひっ…」



栞鳳は、痛みと咳が収まったのか
はあと大きな溜息をつき、
私を見つめる。



その瞳には 憎しみ はなかった。





栞「やっぱ凄いね。沙織ちゃんは。」


沙「ひっく…ひっ…んっ…ぅ」



栞鳳の複袖が、私の涙をそっと拭いた。
体を震わせながら、その感触に耐える。


だが 嫌という訳でもなかった。


栞鳳の手は
先程までとは違い、とても温かい。

懐かしいぬくもりが

涙で濡れた私の頬をそっと撫でてくれた。





そのひと時の幸せに私は落ち着きを覚える。






そうだ。




確か、栞鳳も一度だけ、
私を助けてくれたことがあった。



皆に虐められて、
悲しくて苦しくて、
ひとり、放課後の教室で泣いていた時だった。



――――――――――――

――――――――

――――



栞「さーおーりーちゃん♪」

沙「っ!!」


栞鳳が 扉からひょこっと出てきた。
可愛らしい無邪気な笑顔で。


栞「そんな泣いちゃってどうしたの?」


沙「…。なんでもっ…ありません…」



私は、そっぽを向いた。
すると栞鳳は、むぅっと拗ねるのだ。



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