第3章 普通の子
次の瞬間、大河が私の胸ぐらを掴み
右足を少し宙に浮かせた。
胸ぐらを掴む手には結構な力が入っている。
まるで、逃げるなよ?と言わんばかりに・・・
力が増すたびに「うっ」と唸る。
首元が苦しく、満足に呼吸が出来ない
こんな時、
クラスの生徒達は何をしていると思う?
そう、「見ないフリ」だ。
私と大河がいる位置からは半径二メートル程
離れて、普通に朝の支度をしている。
誰かが「やめなよ!」と一言放てば
この教室の空気は変わるかも知れない。
だが、そんな勇者はいないだろう。
皆思っているんだ。
"次"になりたくはナイ と。