第16章 そこにいたのは置き物会長
刈「・・・。」
刈真が私を見ながら目を丸くする。
沙「その後はね?会長さんは・・・
またねって笑いながら行っちゃったんだけど…
その時の目が
私、未だに忘れられないの…
だから…ちょっと怖いんだ。あの人のこと…」
話をし終わる頃には
もう刈真のいうキッチンの前の扉まで来ていた。
私達は何も話さずにキッチンに入り、
コカ・〇ーラを冷蔵庫から取り出す。
その時、刈真が私の手に自分の手を重ねた。
驚いて彼の顔を見る。
すると、彼は言った。
「栞鳳さんには気をつけて。
あの人は絶対に君に何かしようとしてる。」
「え…っ」
言っている意味が分からなかった。
だが、彼の輝く銀色の瞳を見れば
『栞鳳に近づくな』と言っているのがわかる。
「…私…怖いよ…」
弱々しい声で呟くと、
刈真が優しく微笑んだ。
「大丈夫。必ず僕が守るから。」
彼は力強く言ってみせる。
私は、嬉しい気持ち半分、
申し訳ない気持ちも半分だった。
だって、いつも守ってもらってばっかで…
私は…刈真君の為になにが出来るの…?
「もう充分できているよ」
久しぶりに
夢の中の彼の声が聞こえる。
そうなのかな…?
「うん。だって、僕は幸せだもの。」
…そっか…。良かった…。
「だから、何も気にすることはないよ。」
うん…。
「でも あの人には気をつけて。」
生徒会長さんのことだよね…?
わかった。
私達は、大きなペットボトルを抱えると
足早に皆の元へ戻っていった。