第15章 夏祭り
刈「気をつけて。」
刈真に手を引かれながら
私は葉で生い茂っている木を登る。
やっとのことで木の頂上へ登りつめ、
私はせっせと刈真の隣へ腰を下ろす。
登るのに必死で、
まだ見渡していなかった景色を見ると、
私は元気な歓声をあげた。
沙「凄い!!空がよく見えるねっ!!」
私達のいるところからは、
花火がとても見やすく、この夏空も
満遍なく見渡せる絶景スポットだった。
流石刈真だ。
こんな木の上にまで手がまわったなんて。
私達が登った木は、学校の中で
一番大きく、丈夫で背が高い木だ。
そこへ登って花火を見られるなんて
どんだけ私は幸運に恵まれているのだろうか。
沙「刈真君っありがとう!!!!!」
私は、刈真に心の底から感謝した。
刈真は優しく微笑む。
刈「ここの木がいいかなって。
地上で見るより、こうやって木の上で見るのも
結構新鮮でしょう?喜んでもらえて良かった。」
沙「本当凄いよ!
この木葉が一部だけ生えてない部分があるから
そこを通ってくれば浴衣だって汚れないし!」
私は刈真に、自分の浴衣の裾や帯を見せ、
フフッと笑った。
その直後、
待ちに待った大きなあの音が聞こえた。