第15章 夏祭り
その時、優一が何かを指さした。
優「あそこ…金魚釣りやってる…。」
私達もその方向へ首を傾げると、
確かに金魚釣りと大きく書かれた看板があった。
その屋根の下では、
小学生ぐらいの子供達が大勢いる。
沙「人気なんですね。金魚釣り!」
翠「だねっ! 優一、アレやりたいの?」
翠が金魚釣りを指差しながら
優一に問いかけると、優一はゆっくり頷いた。
すると、翠は「あんたはお子様ねぇ」と
呆れ気味に言いながら、財布を取り出していた。
(お、お母さん…!!)
私はその光景を見てふと思った。
翠は優一におこずかいを
与えると、こちらへ顔を向け言う。
翠「じゃあ ここからはそれぞれってことで!
沙織!楽しんできてね!刈真君は
沙織を泣かせちゃダメだよっ!!?」
刈「泣かせる訳ないじゃないですか。」
沙「ふふっうん!行ってくるねっ!」
私達はお互いに手を振り合いながら、
別々に離れていった。
いよいよ刈真と二人きりのお祭りが始まる。
そう思うと、
いきなり緊張して顔が熱くなってしまった。