第15章 夏祭り
優「翠…遅いぞ…。」
優一は少し膨れ気味に低い声を出す。
翠は「しょうがないじゃん♪」と言うと、
優一は呆れた顔をしてわた菓子を食べ始めた。
優「…黒翔だよな…。」
沙「!!はいっ!」
いきなり名前を呼ばれ、
私はドキっとする。
優「お前、嶋瀬と行くんだろ…?」
優一は変わらずわた菓子を食べている。
翠は優一の服に付いたわた菓子を綺麗に
拭き取っていた。
優「嶋瀬…こねぇなぁ…
嶋瀬来るまで 俺らとまわってるか…?」
沙「え…?あ、えっと…」
私は曖昧な返事をしながら、
門のまわりをキョロキョロと見渡す。
確かに、あの銀色の瞳が輝く
彼の姿がまだ見えていない。
遅くなるのだろうか…?
沙「…じゃあ…ちょっとだけ…」
私は優一に向かってはにかむ。
すると、優一は「そっか」と言い、
ポッケか何かを取り出して私に差し出す。
沙「?なんですか?これ。」
優「防犯ブザー。」
沙「えぇぇ!!??」
私はもの凄く驚いてしまった。
まさか小学生じゃあるまいのに、
同い年の男の子から【防犯ブザー】を貰うなんて…
沙「な、なんで防犯ブザーなんです…?」
優「お前、迷子になりそうだから…」
翠「さらっと酷いこと言うなよ…(汗)」
私は少し腹をたて、
優一の腕をバシバシと叩いた。
だが、優一には全然効いていない。
その時だった。